2016年11月24日木曜日

<リバースチャージ方式>


リバースチャージ方式とは、「国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供について、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す方式」
と国税庁のHPでは説明されておりますが、非常に難解な表現のように感じます。
そこで、理解しやすくするために、「電気通信利用役務」を仮に「ITサービス」と読み替え、具体例を挙げて考えてみます。

GoogleWeb広告を出したA社があります。
これを、冒頭の文章に当てはめて読み直すと、
Googleが行う事業者向けITサービスの提供については、そのサービスの提供を受けたA社が申告納税を行う」 と言うことになります。
このリバースチャージ方式では、A社の受けたサービスについては、特定課税仕入れとして仕入税額控除を計上すると同時にその額を課税標準額に計上します。
つまり、課税売上と課税仕入が同時にたつようなイメージです。

申告書を作成する際には、課税標準額は、申告書別表の③「特定課税仕入れに係る支払対価の額」仕入税額控除は、付表2の⑩「特定課税仕入れに係る支払対価の額」
にそれぞれ記載して下さい。
ただし、このリバースチャージ方式は、経過措置により、当分の間は、その課税期間について一般課税により申告する事業者で、課税売上割合が95%未満の事業者にのみ適用されます。つまり、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税適用事業者については、そのITサービスの提供に係る特定課税仕入れはなかったものとされます。

2016年11月14日月曜日

<電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し>

平成27101日から、電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準について消費税法が改正されています。国税庁のHPの内容を引用すると、

「電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するかどうかの判定基準(内外判定基準)が、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地から「役務の提供を受ける者の住所等」に改正されました。」「電気通信利用役務の提供」に該当する具体例としては、以下のようなものがあります。
インターネット等を通じて行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエアの配信
顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
インターネット等を通じた広告の配信・掲載
インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス
インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト
インターネットを介して行う英会話教室

言葉が少し難しいので、より具体的な例を挙げると、
電子書籍 → キンドル
音楽 → アイチューンズ
公告 → グーグル
ショッピングサイト → アマゾン  などです。
これまでは、これらのサービスを提供する者の事務所等の所在地で消費税の内外判定を行っていました。
ですから、サービスを提供する者の事務所等の所在地が海外であれば、消費税は課税対象外でした。
平成27101日以後は、これが180度転換され、サービスの提供を受ける者の住所等の所在地で消費税の内外判定を行うことになります。
ですから、サービスの提供を受ける者の住所等の所在地が国内であれば、消費税は課税対象になります。

2016年11月8日火曜日

<土地を市に寄附したら税金はどうなるの?>


評価額が8千万円の土地があるとします。
この土地の所有者が死亡した場合には、その土地の評価額に対して、相続税が課税されます。
細かい計算を除いて、相続税の税率を仮に50%とすると、8千万円 × 50% = 4千万円の相続税が課税されることになります。
土地のみを相続した場合の大きな問題点としては、現金がないのに多額の相続税を納付しなければならない点などがあります。
では、そのような事態も想定して生前にこの土地を市に寄附した場合の所得税の課税関係はどうなるでしょうか?
個人が法人等に資産を贈与した場合には、その贈与した時の時価で資産の譲渡があったものとして譲渡所得が課税されます。
しかし、国又は地方公共団体に対する贈与は非課税となります。
具体的に、時価8千万円の土地(取得費不明、測量費用100万円)を市に寄附するとします。その際の所得税の譲渡所得の計算は、以下のようになります。
8千万円 - (8千万円 × 5% + 100万円) = 7,500万円
しかし、国又は地方公共団体に対する贈与は非課税となるため、この7,500万円が非課税となります。同時に、寄附し土地の取得費等に相当する金額は特定寄付金になります。
その際の特定寄付金の額の計算は、以下のようになります。
8千万円 × 5% + 100万円 = 500万円
この特定寄附金の額500万円から2千円を控除した4998千円が寄附金控除として確定申告の際に控除することが出来ます。
土地は所有していると固定資産税がかかり続けるので、場合によっては国や地方公共団体に寄附をするというのも一つの手かも知れません。